脳の話となると、どうしても神経細胞(ニューロン)が注目されがちですが、脳においての総量としては圧倒的にグリア細胞の方が多くなります。
そのグリア細胞にも…
オリゴデンドロサイト
神経繊維上に巻き付きミエリン鞘を構成することで、神経伝達速度を劇的に速める跳躍伝導を実現している
ミクログリア
脳は身体と切り離された免疫システムを持ち、身体でのマクロファージと同じ働きをしてくれ脳内の免疫システムを担ってくれています。
そして、この書籍のタイトルでもあるアストロサイト。
脳内のインフラストラクチャーとなり、
構造の支持
ニューロンへの栄養供給
そして、脳内の環境保全を担ってくれています。
ニューロンの活動に伴い、興奮性の神経伝達物質として分泌されるグルタミン酸は認知.記憶.学習といった高次機能において重要な役割を担います。
その反面、神経興奮毒性も合わせ持ち、てんかんやアルツハイマー、ALSなどの神経変性疾患の原因の1つとしても捉えられています。
もちろん脳はグルタミン酸による神経伝達を終えた後は、それを取り除く仕組みを合わせ持っています。
ニューロン自身もそのグルタミン酸トランスポーターを持っていますが、効果的に取り除いてくれるのはGLT1,GLASTといったトランスポーターを持つアストロサイトです。
まさに脳機能の影の立役者。
環境保全だけでなく、栄養供給においても重要な役割を担います。
脳のニューロンもGLUT-3を介して直接的にグルコースを取り込み、エネルギー源として消費しますが、シナプスでの活動が亢進すると血中のグルコースはGLUT-1介して、BBBを越えてアストロサイトへと取り込まれます。
アストロサイトへと取り込まれたグルコースは乳酸へと代謝され、アストロサイトにあるMCT1(モノカルボン酸トランスポーター)、ニューロンにあるMCT2を介してエネルギー基質としてニューロンに伝達されます。
乳酸としてニューロンに取り込まれた後、ピルビン酸に代謝されてATPを産出します。
いわゆるastrocyte-neuron lactate shuttle hypothesisというやつで、”仮説”という事ですがシナプスの活動亢進時だけでなく、安静時でもニュー ロンにおいてはグルコースよりも乳酸をより選択的に代謝することが確認されていたりします。
アストログリアで消費されたグルコースの約86%は乳酸として放出された、というデータもあったりするようで、乳酸がニューロンにおける重要なエネルギー基質であるということを肯定しているのかな、なんて考えたりしています。
また長期記憶の形成にはアストロサイトからニューロンへの乳酸の取込みが必要となるようです(Suzuki A, et al. Cell. 2011.)
脳はまだまだ解明されていない事も多い場所ですが、少しでも多くの情報を得られるように買ってみた書籍ですが、ええ値段したわりに空ぶった感が…。
「内容あんまりだな」とか思う本は、多くの場合は”読み手の事前知識不足”によるものだと思ってますので、僕の知識が増え、情報のリテラシーが増せば、激アツ本となってくれるのでしょう。
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