昨日はショートセミナーセッションを行いました。
タイトルとしては
「2型糖尿病とZn,Mg,リポクオリティ」
1型糖尿病は2型と違い自己免疫疾患のため、全く違うものです。
1型は自己反応性のリンパ球により膵臓β細胞が破壊されることによるインスリン分泌障害です
かたや2型糖尿病は食生活習慣が影響し、発症する生活習慣病です。
こちらはβ細胞が破壊されるわけではありませんが、インスリン分泌能の低下が起こります。
2型糖尿病も問題はザックリ分けちゃうと2つ
①細胞膜がインスリン抵抗性を持ち、糖を取り込めない
②膵臓β細胞からインスリンが正常に分泌されず、糖を取り込めない
要は、細胞膜での取り込みの問題なのか、そもそもホルモンが分泌されないことによる問題か。
いずれにせよ、糖そのものが問題なのではなく糖の取り込み能力に問題があります。
そう、糖尿病ってその名前から糖質に問題があるように考えられがちです。
「糖尿病予備軍だからご飯🍚を減らして…」
これももちろんある程度は必要な事ではあるんですが、根本的に大切なのは摂る糖質を減らすのではなく…
“血液内から糖を取り込む能力を取り戻すこと”
つまり耐糖能を取り戻す事が根本的に必要になります。
これまた雑にミネラルって一点だけで見てザックリ分けちゃうと
①膜の取り込み能力の問題にはMg
②膵臓β細胞のインスリン分泌能の問題にはZn
これらを充足させることがキーになります。
このショートセミナー自体、本来は「亜鉛と糖尿病で~」と依頼を頂いたものなので①は端折って言うと
IRS(インスリンレセプター基質)を介してGLUT-4が細胞膜上に発現するのにMgが必要だからです。
さて、②の亜鉛に関してですが、
抗酸化物質SODの構成元素であること。
亜鉛の充足は重金属デトックスタンパク質 メタロチオネインの産生誘導になること。
そういった点からも抗酸化システムのキーでもあります。
それだけでなく、亜鉛は糖の取り込み。
つまり折角摂ったカテゴリー1(デンプン)を、ちゃんと細胞内に取り込むために大切だということです。
というのも、糖の取り込みを行う唯一のホルモンであるインスリン。
こいつは亜鉛2分子を中心とした分子の六量体ですから、それだけで亜鉛がインスリンの結晶構造形成に不可欠な事が分かります。
そのためインスリン分泌を行う膵臓のβ細胞は生体内で亜鉛局在濃度が最も高いとも言われますが、実は細胞質内にはそれ程亜鉛は存在せず、インスリン顆粒内に高濃度で存在することが分かっています。
で、その顆粒内への亜鉛の取り込みを行うのがZnT8というトランスポーターです。
こいつのおかげでインスリン顆粒内に亜鉛は取り込まれます。
そして血糖値の上昇に伴い、β細胞からインスリンだけでなく亜鉛も共分泌されています。
実はこの亜鉛共分泌が肝臓におけるインスリン分解を抑制するために重要で、ZnT8を欠損させて亜鉛共分泌をなくしたマウスでは、肝臓でインスリンが分解されてしまい、抹消へ向かうインスリンレベルを保てず、耐糖能異常を起こすことが分かっています。
それも膵臓β細胞からのインスリン分泌はあるにも関わらずに、です。
ごちゃごちゃ書きましたが、一言にまとめると「2型糖尿病予防や寛解に亜鉛は大事!」ってことですね。
またZnT8はTNF-α(腫瘍壊死因子)によって発現低下するため、やはり肥満は万病に繋がりますね。
ではでは結論、亜鉛摂るには何食べればいいのかって話。
当然、牡蠣が亜鉛の王様ではあるけど頻繁には食べづらい。
そこで
豚肉、牛肉、鶏もも肉
です。
全て部位や調理方法に依りますが、100g(手のひら1枚分程度)あたりの亜鉛含有量は
牛肉には約4.0-6.0mg
豚肉には約2.0-3.8mg
鶏もも肉には約1.5-2.5mg
ほどになります。
亜鉛の一日推奨量は、男性:10mg 女性:8mgです。※日本人の食事摂取基準(2015年版) 厚生労働省
ということは、他の食品に含まれる亜鉛も加味すれば1日3食の内、2食か毎食にこれらが100gずつ摂れれば亜鉛の推奨量はカバー出来るということです。
とはいえ亜鉛の吸収率は20-40%ほどですし、ストレス、アルコール解毒などで亜鉛は浪費されてしまいますし、亜鉛は必須脂肪酸を代謝する際のΔ6デサチュラーゼの補酵素としても働きますから、多くの方は亜鉛不足に陥りがちです💦
なのでミネラルをキレート化して摂るために肉類にレモンを添えるのはとてもオススメですね。
更に胃酸の分泌も促進してくれますから、たんぱく質の初期消火、ミネラルのイオン化をサポートしてくれます。
糖質(デンプン)の機能である「細胞の成熟、エネルギー」。
これを活かすためには、そもそもグルコースを細胞に取り込む必要があるため亜鉛は大切です。
亜鉛という観点から見れば、積極的にカテゴリー肉類は毎食に摂りたいですし、デメリットを相殺するため野菜、キノコ類、海藻類は外せません。
つまり主食、主菜、副菜の揃った食事を摂ること。
王道こそが極意だということですね。
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