ダイエット、減量は高栄養で

ダイエット、減量は高栄養で

【減量期こそ高栄養で】

先日、相談を受けた件に関して少し書いていこうかと思います。

一般の方、アスリート問わずにダイエットや減量期は高栄養であるべきだと考えています。

これは

高カロリー = 高栄養 

ではありません。

その個体の状態や目的に最低限必要と思われる栄養素が摂れることを指して、高栄養という言葉を用いています。

そして

低カロリー × 低栄養

これを最も危険な減量だと考えるのは、誰しもが同じでしょう。

でもダイエッターや階級制競技の選手で栄養の知識がない人は、無自覚のうちにコレをやりがちです。

そうすると減量のスタートダッシュは脱水などにより速いものの、除脂肪が進みづらいだけでなく、様々な弊害を抱える可能性も出てきます。

その1つが”貧血”です。

酸素運搬を一手に担う赤血球の障害ですから、アスリートであれば確実にパフォーマンスは低下します。

貧血にも様々な種類がありますが、溶血性貧血は低LDLコレステロールの方に多い事が分かっています。(Au YP, et al. Biochim Biophys Acta. 1986.)

なぜならコレステロールは細胞膜に安定性を与えてくれるという役割があり、赤血球の細胞膜に強さを与えてくれます。

そのため肝臓から末梢にかけての輸送型コレステロールとも言える、LDL-Choが低値では全身の細胞に安定性を持たせるコレステロールを十分に輸送する事が出来ません。

不十分なコレステロールから出来上がった脆い細胞膜を持つ赤血球は、当然ながらアスリートの足底にかかるランニングや踏込みの衝撃に耐えきれません。

結果、赤血球は足底で壊れてしまい溶血が起こる事が考えられます。

※溶血になると逸脱酵素であるAST,LHDや間接ビリルビン、MCVなどに変化が起こりやすいですが、独断で判断せずに必ず医師の診断を受けましょう。

低栄養なままハードなトレーニングを続けていくと、これは当然ながら、いわゆる”スポーツ貧血”に繋がる可能性もあるわけです。

鉄は半閉鎖系でリサイクル利用されていますが、男性アスリートでも油断できませんし、女性アスリートは必ずフェリチンは測定した方がいいでしょう。

特に階級制競技では「対戦相手ではなく、減量こそが敵」になってはいけません。

そのため高栄養な食事はLDL-Choも適度にあって、細胞膜を強くし、溶血を防ぐためにもメチャクチャ大事です。

低栄養な状態が常態化していると低LDL-Choになりやすいですが、これは”たんぱく質の消化吸収”が出来ていない時にも起こります。

なぜならLDLとはLow Density Lipoproteinの略であり、リポタンパク質です。

コレステロールや中性脂肪などをタンパク質でコーティングして運んでくれています。

つまり、たんぱく質摂取が十分で、体タンパクへ代謝されなければLDL-Choの値は上がらないのです。

なのに低栄養、低たんぱく質な減量食ではどうでしょうか?

当然ながら強い赤血球の細胞膜は作れないかもしれません。

また低カロリーだとどうでしょうか?

ある程度たんぱく質を摂っていたとしても、糖質が不足していては、吸収されたアミノ酸もタンパク合成ではなく、エネルギーとして消費されてしまう恐れもあります。

つまりパフォーマンスを極力低下させずに減量するためには、高栄養な食事での減量を計画的に行う必要があります。

身体を絞り込んでいくからこそ、高栄養で。

一見矛盾するかのようにも感じますが、これこそがダイエットや減量でのサポートで大切なポイントではないかなと考えています。

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