自然免疫の暴走が慢性炎症を引き起こす

自然免疫の暴走が慢性炎症を引き起こす

【自然免疫の暴走が慢性炎症を引き起こす】

感染症や自己免疫などに関係が強いのは獲得免疫であり、脊椎動物が持つこちらの方が高等で重要なものと考えられがちです。

ですが近年では全ての生物が持つ自然免疫の重要性が注目されています。

現代病の本質は炎症性疾患であると考えられ、その根底には慢性炎症が存在していると考えられており、炎症反応の制御法を理解することは病気の発症、予後を大きく左右します。

そのため予防医療として運動と栄養を統合した介入をおこなう上で、慢性炎症の理解は基本的かつ重要事項になります。

未病とは恒常性が崩れつつある状態であり、その典型例が肥満(内臓脂肪型肥満)です。

内臓脂肪型肥満の脂肪細胞は、細胞内にある脂肪滴が肥大しておりMCP-1(単球走化性因子)を分泌します。

こちらは異物を貪食しているマクロファージのイラストです。

それを受けて誘導されるM-1マクロファージは炎症性であり、ATP産生を解糖系に頼っており、グルコース取込みが亢進しています。

M-1マクロファージではTCA回路における

イソクエン酸→α-ケトグルタル酸

コハク酸フマル酸

この2点に必要な酵素の活性や発現が抑制されているためTCA回路を回転させられず、ATP産生を解糖系に依存します。

そのため解糖系が亢進しています。

逆に炎症収束に働くM-2マクロファージでは脂肪酸取込みが亢進し、酸化的リン酸化によってATP産生を行なっています。

獲得免疫で炎症収束に導いてくれるTreg細胞も同じく酸化的リン酸化によりATPを生み出しています。

つまり内臓脂肪型肥満は慢性炎症状態であり、M-1マクロファージが多く解糖系亢進が起こっています。

炎症収束に向けてM-2マクロファージに誘導していく必要がありますが、そのための誘導因子がIL-10,TGF-βです。

これはTreg細胞、Berg細胞から分泌されるサイトカインであり自然免疫レベルでも炎症収束に向わせてくれます。

本来はこのようにマクロファージにも分化誘導が起こり、炎症が収束に向かうことが適切です。

ですが慢性炎症状態では収束に向わず、その役割を副腎が担ってしまい過負荷がかかります。

よって副腎疲労の寛解にも慢性炎症の収束は必須になります。

6/21に開催致します「慢性炎症と副腎」のセミナーは、コレを簡単にお伝えする内容になります。

ご参加いただける皆様、どうぞよろしくお願い致します。

ちなみにこちらと7/26「女性が生涯輝くための食事と知識」は満席となっております。

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