昨日、今日と受講した遺伝子栄養療法セミナーと機能神経学的な内容を合わせ、学習定着のためにアウトプットしようかと思います。
遺伝子栄養療法における大きな目的はグルタミン酸/GABAのバランスを整えることであり、グルタミン酸受容体の活性が
AMPA型グルタミン酸受容体<NMDA型グルタミン酸受容体
になっているのを
AMPA型グルタミン酸受容体>NMDA型グルタミン酸受容体
に変えることです。
そのためにはまず1stステップとして、過剰なグルタミン酸の摂取を減らすという選択があります。
以前も書きましたように過剰なNMDA型グルタミン酸受容体の活性はアポトーシス、炎症だけでなくペインコントロールにも影響を及ぼしますから、運動療法をバックアップする栄養コンサルティングとして必要な知識でしょう。
また本来はAMPA型グルタミン酸受容体の方が先に活性化される受容体であり、こちらは基本的には細胞内へのカルシウムイオンの流入は起こしません。
NMDA型グルタミン酸受容体にはマグネシウムイオンブロックがあり通常では不活性なのですが、強い刺激によりこのブロックが外れることによりNMDA型グルタミン酸受容体が活性化しカルシウムイオンが流入します。
ということはマグネシウム不足はNMDA型グルタミン酸受容体を活性化しやすくなり痛覚過敏を引き起こすかもしれません。
ラット実験ですが、7日間のMg欠乏食を与えることで痛覚に対して敏感になることが確認されています。(Dubray C,et al. Neuroreport.1997)
またマグネシウムを充足させることで痛覚過敏も正常化されることが同じくラット実験ではありますが確認されています。(Alloui A,et al. Eur J Pharmacol.2003.)
つまりマグネシウムの充足はNMDA型グルタミン酸受容体の活性を下げるために有効だと考えることが出来そうです。
それ以外にもNMDA型グルタミン酸受容体の活性を下げるには何ができるでしょうか?
まずは亜鉛です。
亜鉛はNMDA型グルタミン酸受容体を不活性化し、疼痛の伝達を調節することが分かっています(Nozaki C,et al.Nat Neurosci.2011)
特にC繊維における疼痛の伝達を抑制する働きが期待できるようです。
亜鉛以外にもNMDA型グルタミン酸受容体を不活性化するために欠かせないのが
アンモニアの処理、慢性炎症の収束です
そこを説明するにはこのメチレーション回路の理解が必須です。
過剰な高たんぱく質食によって尿素回路で発生するアンモニア、腸内環境の悪化により体内に発生するアンモニアはその隣のビオプテリン回路で作られるBH4(テトラヒドロビオプテリン)により除去されます。
このBH4は神経伝達物質の合成に対してビタミン、ミネラルよりも重要度の高い補因子です。
そのためアンモニアが過剰発生することでBH4は解毒に優先的に使われ、神経伝達物質の合成は後回しになり、結果としてGABAの産生も少なくなることでグルタミン酸/GABAバランスも崩れるでしょう。
BH4を合成するためにも葉酸回路が上手く回る必要がありますが、この回路を止めてしまうのがSHMT(セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ)のアップレギュレーションです。
この酵素の活性により動脈硬化などの原因の1つとも考えられるホモシステインが溜まりますから一大事。
SHMTのアップレギュレーションはフェリチンの上昇により引き起こされます。
つまりは慢性炎症、細菌感染が葉酸回路を止め、BH4の合成を阻害します。
またSHMTのアップレギュレーションによりセリン、グリシンも増加しますが、セリンはメチオニン回路でホモシステインをシスタチオニンへと変換する酵素CBS(シスタチオニンβシンターゼ)の活性を高めます。
すると回路内の基質は硫黄移転経路へと流れることになり、アンモニアの発生へと繋がります。
またグリシンはNMDA型グルタミン酸受容体とグルタミン酸の反応を著しく増強することが知られており、グリシンの存在がNMDA型グルタミン酸受容体の活性に必須なのです。
そういったことの理解にもこのメチレーション回路を知ることが必要です。
本来は自閉症の回復プロトコルとしての学びがメインのセミナーでしたが、要はNeuroscienceですから我々運動指導者にも役立つ知識でしょう。
NMDA型、AMPA型グルタミン酸受容体などはCarrick Instituteでも紹介されています。
Neuralplasticityに関するCaricck Instituteの動画です
こちらの動画の方がグリシン、Mg イオンブロックについても分かりやすくなっています。
とりあえず新幹線の中で軽くまとめてみました。
アウトプットが一番の学習に繋がるので、今後は更にアウトプットよりの学習ができればなと思います。
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