お子様の姿勢が崩れたり、集中力のなさが気になる親御様。
「やる気がない…」
「シャンとしなさい」
そのように思ったり、言ってしまうことはありませんか?
一見問題行動のように見えるものも、実はお子様からの「感覚欠乏、栄養欠乏で困っている」というサインかもしれません。
▪︎脳の覚醒レベル
▪︎無意識下の姿勢制御(前庭脊髄路、網様体脊髄路)
※保育者が知っておきたい発達が気になる子の感覚統合 著者:木村 順より引用改訂
この辺りに問題を抱えると、集中力が低下したり、注意散漫になったり、姿勢の乱れに繋がってきます。
これには脳の…
大脳(前頭葉)
脳幹
この辺りが脳の覚醒レベル調節に大きく関与してきます。
まず集中力を作るためには脳幹から投射されるモノアミン系神経伝達物質が関与し、覚醒レベルが高まります。
ですが、覚醒レベルも適度である事が重要です。
過剰になれば、それは多動などに繋がるとも考えられています。
それを適切に抑えてくれる働きを持っているのが大脳(前頭葉)です。
もしかするとお子様の問題行動は前頭葉が不活性なために、覚醒レベルを調整出来ず、過覚醒とも言える状態を示しているのかもしれません。
では逆に覚醒レベルが低い場合は、前頭葉が機能し過ぎているのでしょうか?
ではなく、こちらは低反応状態を示しており、覚醒レベルを高めるために様々な感覚入力を行う必要があります。
そして姿勢制御に関与するのも脳です。
脳から出る神経繊維の伝導路として、主要な2つの経路が存在します。
それが
背外側経路(Lateral pathway)
腹内側経路(Ventromedial pathway)
です。
背外側経路は手足など末端部分の随意運動に関わり、特に重要なのが大きな神経路でもある皮質脊髄路(corticospinal tract)です。
こちらは大脳の運動野、体性感覚野から始まります。
対して姿勢制御を担う腹内側経路は脳幹から始まる…
▪︎前庭脊髄路(Vestibulospinal Tract)
▪︎橋•延髄網様体脊髄路(Pontine reticulospinal Tract,Medullary reticulospinal tract)
▪︎視蓋脊髄路(Tectospinal tract)
によって反射的に身体の平衡と姿勢を維持しています。
その中でも特に全身の姿勢に関与するのが前庭脊髄路と網様体脊髄路です。
前庭脊髄路は安定した直立姿勢の維持を制御し、橋網様体脊髄路は脊髄の抗重力反射を促進して姿勢維持に関与します。
逆に延髄網様体脊髄路は、抗重力筋を反射から解放します。
つまり円滑な動作や安定した姿勢維持のためには両方の網様体脊髄路の活性が必要になります。
そして、それは大脳皮質から末端へと下行する指令により制御されます。
ですから、大脳を活性化することは両網様体脊髄路を活性化し、姿勢を安定させることに繋がります。
では脳の覚醒レベルを適正に保ち、大脳を活性化するために必要なものは何でしょうか?
それは感覚と栄養素です。
栄養素、特にアミノ酸に幾つかのビタミンやミネラルが補酵素として働きモノアミン神経伝達物質が生成されます。
それが覚醒レベルを高めてくれます。
つまりたんぱく質不足、ビタミンミネラル不足のお子様は低覚醒レベルになってしまうことが考えられます。
もちろん低血糖は過剰なモノアミン神経伝達物質の生成に繋がりかねないので、血糖値の維持も大切です。
また入力される感覚により大脳皮質が活性化されることで、覚醒レベルを保つだけでなく、腹内側経路も活性化され、安定した姿勢維持能力を養うことが出来ます。
この感覚と栄養素の入力を作るのは
運動習慣
食習慣
生活習慣
です。
お子様の姿勢が気になる、集中力が気になる。
そんな方はお子様と一緒に、この3つの習慣を変えてみると良いかもしれません。