【舌の位置など口腔環境で呼吸、姿勢、安定性が変わる】
PRESSING RESET reloaded 著者 Tim Anderson:Geoff Neubertを読んでから、呼吸エクササイズの際に舌の位置に注意を払うようにしています。
基本的には嚥下を行うと、舌の先は上顎の前歯の裏辺りの”スポット”に位置しやすいです。
※以前、シュガースポットと誤って覚えていた恥ずかしい過去があるは
そのため呼吸エクササイズの前に唾液を飲み込む事で舌の位置を理解していただく事もあります。
そして、舌がスポットに位置する事で不安定なサーフェスでの直立位、そして閉眼でも姿勢制御能力が上がります。(Alghadir AH, et al. Somatosens Mot Res. 2015.)
口腔は構造的に見ても地続きですし、身体の制御や筋出力にまでも影響を及ぼす事は理解できます。
例えば、今、口を開けて腹筋に力を入れてみてください。
確かに力は入るでしょう。
ですが、そのまま口を閉じてみてください。
更に力が入るのではないでしょうか。
普段の指導の中でも姿勢改善というオーダーに対して、「舌の位置の改善が必要じゃね?」という方もおられます。
舌の位置大事。
一方、身体の内的な感覚の欠如や不安定性から噛み締め癖、力み癖がある方にもお会いします。
例えば遠位の出力を上げることで、近位の安定性も一時的に上げる事も可能です。
噛み締め、拳の握り込みによって姿勢制御や安定性は高まります。(Ringhof S, et al. Gait Posture. 2015.)
高い出力を発揮するためには安定した土台が必要ですから、逆説的に遠位で高出力を出せば近位を固定させざるを得ません。
結果、姿勢を安定させる事は出来るのですが、コレは”力む”という代償により得られる偽の安定性とも言えるでしょう。
安定しているのではなく、緊張により固めているわけです。
結果、噛み締めや力みが抜けない。
そんな事も起こり得るわけです。
その場合はその方の内的感覚を高め、自己認知、ボディイメージを是正する事が噛み締め癖などの口腔環境にまで影響を及ぼすかもしれません。
運動は自己の中から生成されるものですから、外部との適応の前に内的感覚ありきですね。
内的感覚は姿勢に反映され、姿勢は動作に反映され、動作は外部環境からの感覚入力を生み、更なる内的感覚の洗練へと繋がりますね。
もし内的感覚へのインプットさえ良ければ、ですが。
また睡眠中の噛み締めや歯ぎしりの原因の1つとして、「夜間低血糖」が挙げられます。
血糖値が急激に低下する事で、それを維持するためにグルカゴンだけでなくカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナンなど)、コルチゾールも分泌されます。
睡眠中は本来は代謝が低下し、グルコース必要量も最小で済むはずですが、就寝前の食事が血糖値の乱降下を引き起こす内容だったり、そもそも血糖調整能力に問題があると就寝中に低血糖を起こします。
そうすると睡眠中にも関わらずカテコールアミン、コルチゾールが分泌されてしまいます。
就寝中に歯ぎしりをするグループは、しないグループと比較して自覚的ストレスだけでなく、唾液中コルチゾールレベルも高くなっています。(Karakoulaki S, et al. Int J Prosthodont. 2015 Sep-Oct.)
就寝中の歯ぎしりや噛み締めをなくすためには、ナイトガードも勿論ながら、栄養の面から考え介入したり、内的感覚を高め過緊張を抑制し、力みというストレスをなくす。
多方面、他分野からのアプローチの必要性が考えられますね。
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